岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念Book Launch Series 6 「第三巻『多元化する地域統合』」開催のお知らせ (1月9日配信)

岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念Book Launch Series 6
第三巻『多元化する地域統合』

開催日時:2021年2月19日(金)14:00~16:00
開催場所:Zoomによるオンライン開催

【司会】 鈴木絢女(同志社大学・第三巻編集)
【開会の挨拶】 石戸光(千葉大学・第三巻編集)

【本(第三巻)の執筆者と構成】

  • 畑佐伸英(第1章 地域経済統合が重層化する理由―アジア太平洋地域から考える)
  • 韓葵花、尹相国、韓炳燮(第2章 日中韓経済連携の可能性)
  • 渥美利弘(第3章 国際化する偽造品貿易―地域統合を扇動する国際貿易)
  • 梁立成(第4章 企業の異質性と地域統合についての実態分析――日本の海外進出企業を中心に)
  • 松尾昌樹(第5章 新たな政治経済エネルギー移行における炭素資源の役割)
  • 落合雄彦(第6章 アフリカ地域主義の世界―五本のスレッドを読み解く)
  • 池田明史(第7章 だれが中東地域を「統合」しうるのか―中東地域における主体の多義性)
  • 鈴木絢女(第8章 「主権国家」の合理性と政治統合―ASEANと南シナ海問題)
  • 吉田鈴香(第9章 ASEANの縮図としての多民族国家ミャンマーの統合と開発)
  • 水島治郎(第10章 ブレグジット時代のヨーロッパ地域統合―「中心」と「周辺」の関係性から)
  • 小林正弥(第11章 ポジティブ公共システム理論と地域統合―日本内外の関係論的な多層的・多次元的分析)
  • 石戸光(第12章 なにが統合と分断を促すのか―地域統合のテキスト解析)

※これらの章のうち、いくつかの章の内容、特徴について、当日ご報告いただきます。

【討論者】 大庭三枝先生(神奈川大学 教授)
 熊倉正修先生(明治学院大学 教授)

参加登録:以下のURLから参加登録をお願い申し上げます(2月17日まで)。
開催期日が近づきましたら,登録者の皆さま宛てにURLなどを通知いたします。

岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念 Book Launch Series 6 参加登録 (google.com)
 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfgZ2TaaiRvhna5ieaa8KkOtiBZ0yTNKvosinND_HbUUiE32Q/viewform?embedded=true

問合せ: 千葉大学グローバル関係融合研究センター
Email: glblcrss*chiba -u.jp(*を@に代えてご利用ください)

「グローバル関係学」シリーズ刊行にあたって~
「グローバル関係学」とは

酒井啓子

 二一世紀に入り、戦争や内戦、ISなどの武装勢力の台頭、各国での路上抗議行動の広がりなど、世界各地で動乱が多発している。その結果難民など大規模な人の移動が発生し、特に欧米では反動で排外主義が進行している。二〇二〇年初頭から世界で爆発的な流行を見せた新型コロナウイルス感染症の蔓延は、まさに「グローバルな危機」を体現したものに他ならない。
 現代の「グローバルな危機」は、広範な波及性や連鎖性、唐突さといった点で、従来の危機と異なる新しい側面を持つ。その多くが、特に非欧米の非国家主体など、これまでの学問では十分に「見え」なかった要素によって起こされており、それゆえに、特に欧米の国家主体を主に分析対象としてきた既存の学問分野では、十分に解明できない。それは、既存の学問分野が「主語」のある、主体の明確な出来事しか分析対象とせず、伝統的、古典的な主体中心主義の視座を取っているからである。
 それに対して、本叢書が提唱する「グローバル関係学」は、主体よりもその間で交錯するさまざまな「関係性」を分析することに重きを置く。そこでは、さまざまな関係性が双方向、複方向的に交錯し連鎖するなかで出来事が起きると考え、そしてそうした関係性の網のなかにこそ、澱や瘤のように「主体」が浮き彫りになると考えるのである。
 「グローバル関係学」とは、狭い範囲の地域共同体から超領域的グローバルなネットワークまで、非欧米世界を含めた世界を総体として把握する視座を確立し、主体中心的視座で「見えなかった/見なかった」ものを、関係中心的視座から「見える」ようにすることを目的とする。

関連研究計画:A02 政治経済的地域統合