岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念Book Launch Series 3 「第七巻『ローカルと世界を結ぶ』を語る」開催のお知らせ (10月27日配信)

岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念Book Launch Series 3
第七巻『ローカルと世界を結ぶ』を語る

 新学術領域研究「グローバル関係学」は、今年プロジェクトの最終年度を迎えました。今年九月以降、その研究成果を、岩波書店から「グローバル関係学」叢書シリーズとして全七巻を刊行しております。
 10月には、シリーズ三冊目として、第七巻「ローカルと世界を結ぶ」(五十嵐誠一・酒井啓子編)が刊行されました。これを記念して、執筆者がオンラインでの報告会を実施します。さらに、コメンテーターとして木畑洋一先生(東京大学・成城大学名誉教授、歴史学)、石川登先生(京都大学、文化人類学・地域研究)をお迎えし、コメントをいただきます。
 ぜひ、多くの方々のご参加をお待ちしております。
 目次、内容については、岩波書店HP https://www.iwanami.co.jp/book/b530024.html をご覧ください)

開催日時:2020年11月20日(金)15:00~17:00
開催場所:Zoomによるオンライン開催

司会:酒井啓子(千葉大学・シリーズ編集代表/第七巻編集)
開会の挨拶 五十嵐誠一 (千葉大学・シリーズ編集代表/第七巻編集)
報告

  1. 酒井啓子(序章 絡み合うローカルとグローバル/第1章 亡命者が媒介する「他者のまなざし」)
  2. 石田 憲(第3章 地中海におけるヨーロッパ内植民地)
  3. 佐藤幸男(第4章 沖縄はどこからきて、どこへゆくのか)
  4. 高光佳絵(第5章 戦間期におけるアジア・太平洋広域ネットワークをめぐる官民の相互作用)
  5. 宮地隆廣(第6章 トランスナショナルな運動の成功と国際的規範の揺らぎ)
  6. 丸山淳子(第7章 辺境からグローバルな権利運動へ)
  7. 竹田晋也(第9章 ミャンマーの周縁の森から見た相互依存の連鎖)
  8. 清野薫子(《コラム》 医薬品の流通における国の機能と個人・グローバルの接点)

討論者

木畑洋一(東京大学・成城大学名誉教授 :主著書に「20世紀の歴史」「21世紀歴史学の創造4 帝国と帝国主義」(共編))

石川登(京都大学教授:主著書に『境界の社会史:国家が所有を宣言するとき』「Anthropogenic Tropical Forests: Human-Nature Interfaces on the Plantation Frontier」(共編))

参加登録:以下のURLから参加登録をお願い申し上げます(11月18日まで)。開催期日が近づきましたら,登録者の皆さま宛てにURLなどを通知します。

岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念 Book Launch Series 3 参加登録
 https://forms.gle/XvVCFr8feb7c2hvn6

問合せ: 千葉大学グローバル関係融合研究センター
Email: glblcrss*chiba -u.jp(*を@に代えてご利用ください)

「グローバル関係学」シリーズ刊行にあたって~
「グローバル関係学」とは

酒井啓子

 二一世紀に入り、戦争や内戦、ISなどの武装勢力の台頭、各国での路上抗議行動の広がりなど、世界各地で動乱が多発している。その結果難民など大規模な人の移動が発生し、特に欧米では反動で排外主義が進行している。二〇二〇年初頭から世界で爆発的な流行を見せた新型コロナウイルス感染症の蔓延は、まさに「グローバルな危機」を体現したものに他ならない。
 現代の「グローバルな危機」は、広範な波及性や連鎖性、唐突さといった点で、従来の危機と異なる新しい側面を持つ。その多くが、特に非欧米の非国家主体など、これまでの学問では十分に「見え」なかった要素によって起こされており、それゆえに、特に欧米の国家主体を主に分析対象としてきた既存の学問分野では、十分に解明できない。それは、既存の学問分野が「主語」のある、主体の明確な出来事しか分析対象とせず、伝統的、古典的な主体中心主義の視座を取っているからである。
 それに対して、本叢書が提唱する「グローバル関係学」は、主体よりもその間で交錯するさまざまな「関係性」を分析することに重きを置く。そこでは、さまざまな関係性が双方向、複方向的に交錯し連鎖するなかで出来事が起きると考え、そしてそうした関係性の網のなかにこそ、澱や瘤のように「主体」が浮き彫りになると考えるのである。
 「グローバル関係学」とは、狭い範囲の地域共同体から超領域的グローバルなネットワークまで、非欧米世界を含めた世界を総体として把握する視座を確立し、主体中心的視座で「見えなかった/見なかった」ものを、関係中心的視座から「見える」ようにすることを目的とする。

関連研究計画:B03 文明と広域ネットワーク