岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念Book Launch Series 1 「第一巻『グローバル関係学とは何か』を語る~執筆者と国際政治学者・比較政治学者が、大激論!」開催のお知らせ (9月5日配信)

岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念Book Launch Series 1
第一巻『グローバル関係学とは何か』を語る
~執筆者と国際政治学者・比較政治学者が、大激論!

 新学術領域研究「グローバル関係学」は、今年プロジェクトの最終年度を迎えました。このたび、その研究成果を、岩波書店から「グローバル関係学」叢書シリーズとして全七巻を刊行することになりました。
 まずは、九月に第一巻が刊行されることを記念して、各章の執筆者が一堂に会してオンラインでの報告会を実施します。この「グローバル関係学」という新たな試みに対して、日本の国際政治学、比較政治学を牽引してこられた石田淳元日本国際政治学会理事長と小川有美日本政治学会理事長をお迎えし、コメントをいただきます。
 ぜひ、多くの方々のご参加をお待ちしております。
 (「グローバル関係学とは何か」(岩波「グローバル関係学」叢書シリーズ 第一巻)目次、内容については、岩波書店HP https://www.iwanami.co.jp/book/b527913.html をご覧ください)

開催日時:2020年10月17日(土)17:00~19:00
開催場所:Zoomによるオンライン開催

司会:酒井啓子(千葉大学・シリーズ編集代表/第一巻編集)
報告

  1. 酒井啓子:序章・第一章「「みえない関係」を分析する」
  2. 松永泰行(東京外国語大学):第二章「通時的関係性の錯綜から「危機」を分析する」
  3. 清水耕介(龍谷大学):第三章「国際関係におけるポスト・ポジティビズムおよび仏教と関係性の問題」
  4. 石戸光(千葉大学):第四章「政治経済的地域統合の学理」
  5. 水野貴之(国立情報学研究所):第五章「グローバル時代の複雑化するネットワークのビッグデータを活用した「見える化」
  6. 久保慶一(早稲田大学)・山尾大(九州大学):第六章「計量テキスト分析による関係性分析」
  7. 池田昭光(東京外国語大学):第七章「宗派主義の隙間」

討論者:石田淳(東京大学/元日本国際政治学会理事長、元日本平和学会会長)
小川有美(立教大学/日本政治学会理事長、元日本比較政治学会会長)

参加登録:以下のURLから参加登録をお願い申し上げます(15日まで)。開催期日が近づきましたら,登録者の皆さま宛てにURLなどを通知します。

岩波叢書「グローバル関係学」シリーズ刊行開始記念 Book Launch Series 1 参加登録
 https://forms.gle/75Aszi9KXXn3ePZCA

問合せ: 千葉大学グローバル関係融合研究センター
Email: glblcrss*chiba -u.jp(*を@に代えてご利用ください)

「グローバル関係学」シリーズ刊行にあたって~
「グローバル関係学」とは

酒井啓子

 二一世紀に入り、戦争や内戦、ISなどの武装勢力の台頭、各国での路上抗議行動の広がりなど、世界各地で動乱が多発している。その結果難民など大規模な人の移動が発生し、特に欧米では反動で排外主義が進行している。二〇二〇年初頭から世界で爆発的な流行を見せた新型コロナウイルス感染症の蔓延は、まさに「グローバルな危機」を体現したものに他ならない。
 現代の「グローバルな危機」は、広範な波及性や連鎖性、唐突さといった点で、従来の危機と異なる新しい側面を持つ。その多くが、特に非欧米の非国家主体など、これまでの学問では十分に「見え」なかった要素によって起こされており、それゆえに、特に欧米の国家主体を主に分析対象としてきた既存の学問分野では、十分に解明できない。それは、既存の学問分野が「主語」のある、主体の明確な出来事しか分析対象とせず、伝統的、古典的な主体中心主義の視座を取っているからである。
 それに対して、本叢書が提唱する「グローバル関係学」は、主体よりもその間で交錯するさまざまな「関係性」を分析することに重きを置く。そこでは、さまざまな関係性が双方向、複方向的に交錯し連鎖するなかで出来事が起きると考え、そしてそうした関係性の網のなかにこそ、澱や瘤のように「主体」が浮き彫りになると考えるのである。
 「グローバル関係学」とは、狭い範囲の地域共同体から超領域的グローバルなネットワークまで、非欧米世界を含めた世界を総体として把握する視座を確立し、主体中心的視座で「見えなかった/見なかった」ものを、関係中心的視座から「見える」ようにすることを目的とする。

関連研究計画:総括班