「グローバル関係学」若手研究者報告会終了 (2月14日配信)

2018年若手研究会 終了報告

 新学術領域研究「グローバル関係学」では、2018年2月3-4日に早稲田大学において若手研究者報告会を行なった。公募研究採択者および本研究会への公募に応じた合計20名の研究者が、政治体制、社会運動、地域紛争、紛争とメディア、土地ガバナンス、国際刑事裁判所 、国際法レジームにおける規範の動的性質、エピステミック・コミュニティ、イスラーム金融、移民、難民、 非国家主体によるガバナンスと紛争、地域経済統合、グローバル・サプライチェーンにおける紛争鉱物取引など、多様かつ興味深いトピックの報告を行なった。
 全体として、新しい方法論や理論で、新しい現象やこれまで研究対象とならなかった事象に切り込もうとする挑戦的で聞き応えのある研究が多く、国際関係論を担う次世代研究者の活躍も印象的だった。世代や専門分野を超えた活発な討論では、概念の定義、リサーチ・クエスチョンの立て方、プレゼンテーションの構成といった学問の作法に関する教育的なコメントから、既存の国際関係論の前提の当為や最先端の方法論についての議論まで、多様な論点が提起された。
 この中には、「グローバル関係学」の発展につながる論点が多く含まれていた。たとえば、地域研究的手法によるフィールドワークにもとづく知見を、国際政治学、比較政治学、国際経済学、他地域の地域研究など異なるディシプリンや専門から分析した場合に得られる豊富なインプリケーションが示された。また、国境を越える人の移動や非国家主体の台頭、国家統治の弱さや欠缺、非承認国家の存在など様々な問題に直面する主権国家を、国際関係分析の単位として相対化しようとするとき、いったいどのような分析視角、理論枠組みの定立が可能かという点も 焦点のひとつとなった。さらに、グローバルに展開する複雑な「関係」をどう把握し、可視化するかという本研究課題にとって極めて重要な点について、ビッグ・データを用いた新たな方法論が提示された。これに関連して、ビッグ・データと地域研究的手法の補完的関係や共同の可能性についても議論が深められた。
若手研究者の育成ということが会の主眼であったが、扱うそれぞれのトピックの重要性に対応すべく、討論者とフロアからは白熱したコメントが飛び交っていた。総括的なコメントとして、研究報告の中で触れられていた「差異性」という文言に寄せて表現すると、若手研究者それぞれの研究分野と研究スタイルの差異性を尊重しながらも、新領域の学術研究として今後融合・昇華させていくことについて、具体的な研究シーズと多くの視座が得られた会合であった。

(文責:石戸光、鈴木絢女)

(以下、準備ができ次第、当日の写真などを追加します)

【参加者の声】(抜粋)

大変有意義な報告会でした。
特に、興味深かったのは、フロアーの方々、特に教授や実務家からのコメントや質問の部分でした。フロアーの方々の議論への積極的な参加により、各報告の内容の理解度も深まったと思います。
広がりのある報告会だったと思います。

(アリベイ・マムマドフ)

この度は、2日間このような会を開催くださり、出席させて頂きましたこと、心より感謝申し上げます。
博士課程から千葉大にきたわたくし自身、外部とのコネクションが全くない状態でした。
グローバル関係学については、自らの研究領域は若干異なるとは存じておりましたが、プレゼンテーションの発表はともかくとして、初めの一歩に繋がる大変に意義のある会への参加となりました。

(小山 友)

先週末の若手研究者報告会では、一方ならないお世話になりまして、本当に有難うございました。本当に勉強になり、刺激的な2日間でございました。
また、実務面での経験が比較的長い小職と致しましては、皆様が従事しておいでのご研究に基づく世界情勢の正確かつ最新の分析を、もっと実務家が意欲的に理解・消化し、政策に反映すべきだと感じました

(橋本直子)

自分の報告だけでなく、他の報告者の方々との議論も大変勉強になり、貴重な機会となりました。

(小林 周)

まず、自分自身の発表に対して、討論者の先生からのご指摘やフロアーの皆さまから頂いた質問は、これまでぼんやりと私の頭の中にあったことを言語化していただいたものや、新しい視点からのもので、それらは今でも私の頭のなかで反芻しています。
次に、他の発表者の方々の報告は、「グローバル関係学」というフィールドだからこそ、聞く機会を頂いたように思います。今まで耳にしたことのなかった議論が、どのように私自身の研究とリンクしているのか、またはしていないのかを考えることで、自分の研究に欠如している部分に気が付くなど、新しい視点を開拓する契機になりました。

(須永修枝)

関連研究計画:総括班

(配信日:2018年2月14日)
(更新日:2018年2月17日)