総括班・国際活動支援班とは

<総括班>
 各計画研究の代表者および3名の研究分担者からなる総括班は、各計画研究の研究成果を統合、連関付けることで「関係性中心の人文社会科学の融合」を実践するとともに、眼前の危機に対して学問の総知を結集して取り組むために、領域研究内で中心的役割を果たす組織である。
 関係性に着目する本領域研究では、研究対象の関係性のレベルを共通項としてさまざまな研究方法、研究対象地域が並存した計画研究を組織している。総括班は、多様な方法論を併せ持つ計画研究の接点となり、従来の専門分野による縦割型研究に陥らぬ、新たな有機的結合を実現する。計画研究が追求する個別の基礎研究を、「新しい危機」とみなしうる「人類全体が直面する現代的諸問題」に対する問題解決型の応用科学へと転換するのが、総括班の役割である。
 よって総括班は、年一回開催される全体会議や、国内外の国際ワークショップ、若手報告ワークショップなどを通じて、計画研究横断的な議論を推進する。そのため、①若手育成委員会、②オンラインジャーナル編集委員会、③広報委員会を設置する。
 若手育成委員会は公募研究と計画研究の橋渡しをして若手研究者を積極的に領域へと組み込み、若手報告ワークショップを主催する。またオンラインジャーナル編集委員会は、海外の第一線の研究者を編集委員としてオンラインジャーナルを発行し、ウェブを担当する広報委員会とともに、高い水準の外国語による論文を出版、領域の質の向上と国際的認知に努める。

<国際活動支援班>
 本新領域研究では、紛争地域を含むアジア、アフリカ、中東など現地社会に直接密着した研究が中心となるが、そのためには、諸紛争、内戦、難民の舞台となる地域や国の政治経済的状況のみならず歴史、文化的背景など、地域社会に精通した研究が不可欠である。そのため、各計画研究代表者に研究分担者3名を加えて、国際活動支援班を組織する。
 国際活動支援班の主たる役割は、総括班とともに「新しい危機」とみなしうる「人類全体が直面する現代的諸問題」を発掘、その課題に関して毎年国際ワークショップを企画、運営することである。そこではさまざまな研究分野から最もふさわしい海外の研究者を選んで、欧米における第一線の研究者との共同研究を進めるのみならず、現地社会出身の研究者や実務活動家、メディア関係者などとの国際的、学際的ネットワークを構築し、本領域研究が提唱する「グローバル関係学」を国際的に展開、発信する。
 海外との共同研究の場として国際会議を開催する場合、日本で開催するのみならず、アジア、中東、アフリカ、南東欧など、研究対象とする国・地域ないしその近接地で開催することに力点を置く。なぜなら、同地域を専門とする日本人研究者が現地で喫緊の問題を現地の研究者とともに討議することは、問題に対する取り組みの真剣さを現地社会に伝えることができると同時に、現地社会に日本人研究者の研究水準の高さを直接アピールすることができるからである。グローバルな危機に最も直面している国・地域の研究者との直接の研究交流を、研究者が現場に足を運ぶことによって実現したい。
 また、国際活動支援班は、現地社会出身の研究者を積極的に客員研究員などの形で日本に受け入れることを企画する。アジア、アフリカ、中東などの非欧米地域出身研究者の間では、欧米型人文社会科学の知の枠組みに距離感を抱く者が少なくない。こうした試みを通じて、現地出身の研究者に日本発の新たな視角を提供することも、本新領域研究の画期的な点である。